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  • なくそう・減らそう糖尿病:予防へ、地道に啓発 成人の2割に「疑い」

     厚生労働省が4月に発表した国民健康・栄養調査(06年)の結果で、06年11月現在、日本人の成人のうち糖尿病が疑われる人が約2割に達したことが明らかになった。糖尿病の疑いのある人は推定約1870万人になり、9年前の実態調査より500万人、4年前より250万人も増えた。糖尿病は重大な合併症を起こすため、患者数の抑制が国家的な関心事だ。啓発活動に取り組む現場を訪ね、専門家に現状を分析してもらった。【永山悦子、大場あい】

     ◇食事や運動の重要性、広がる理解
     ■「関係ない」

     「摂取カロリーを抑えながらバランスよく食べて血糖値を管理するのが大事です。例えば、ご飯1杯とこのお菓子は同じカロリーなんですよ」。神奈川県茅ケ崎市主催の「糖尿病予防教室」で、同市健康づくり課の管理栄養士、有田仁美さんが説明した。

     この日は麦入りご飯、野菜の煮物など、栄養素のバランスがよく、カロリーが控えめの献立を紹介し、実際に調理・試食した。

     同市は99年から、生活習慣病予防のための、講義と調理実習を組み合わせた栄養教室を開催している。だが、糖尿病予防がテーマの時は、高コレステロール予防の時よりも、参加希望者が少なめだという。有田さんは「糖尿病は他の生活習慣病と比べて、自分には関係がないと考えがちな人が多いようだ」と話す。

     ■4年で15%増

     国民健康・栄養調査は06年11月、約1万8000人を対象に実施した。直前1〜2カ月の血糖値の平均的な状況を示すヘモグロビンA1c(HbA1c)が6・1%以上を「糖尿病が強く疑われる人」、5・6%以上、6・1%未満を「糖尿病の可能性が否定できない人」とした。

     その結果、強く疑われる人は推定で約820万人(成人の9・8%)、可能性が否定できない人が約1050万人(同11・9%)に上り、計約1870万人(同21・7%)になった。4年前は、強く疑われる人が約740万人、可能性が否定できない人が約880万人、計1620万人だったので、4年間に全体で15・4%増えたことになる。

     男女別でみると、男性は強く疑われる人が12・3%、可能性が否定できない人が11・1%で、合計23・4%。成人男性の4人に1人に近い割合が糖尿病の疑いがあることが分かった。一方、女性は強く疑われる人が8・2%と少なめだったが、可能性が否定できない人は12・5%と男性よりも多く、予備群対策の重要性が浮き彫りになった。

     厚労省は00年に策定した「健康日本21」で、10年の糖尿病患者数を当時の予測値である1080万人から7%減少させ、1000万人に抑えることを目標に掲げている。

     糖尿病に関する知識の啓発活動に取り組む日本糖尿病協会の清野裕理事長は「50年代以降の欧米化した食生活で育った人が中高年世代を迎え、患者がある程度増えることはやむを得ない。だが、健康日本21を策定した当時の予想に比べ、伸びが若干抑えられている。食事や運動の大切さに対する理解は広がっており、糖尿病への正しい知識を呼び掛ける啓発が徐々に効果を上げているようだ。今後は、知識をいかに実行に移すかが課題になる」と話している。

     ◇メタボ健診での対策限界−−肥満との関係薄く「血糖値重視を」
     今年度から始まったメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に注目した特定健診・保健指導は糖尿病減少も目的の一つに入っているが、この取り組みによって糖尿病対策が鈍ることを懸念する声が出ている。

     今回の調査によると、40〜74歳でメタボが強く疑われる人は推定約960万人、予備群は同約980万人の計約1940万人だった。「男性の2人に1人、女性の5人に1人」という割合は、調査が始まった04年から変わっていない。

     メタボに詳しい大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)は「糖尿病患者、予備群が右肩上がりなのは、国民全体の運動不足傾向が背景にあるから。メタボと糖尿病の関係は考えられているより薄いようだ」と指摘する。

     日本人の糖尿病患者・予備群は、以前から肥満と関係がないケースが多いことが指摘されている。アジア人は炭水化物の摂取量が多く、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌能力が低いため、食後高血糖になりやすい。運動の習慣がないと、筋肉に糖を取り込みにくくなり、高血糖になりやすく、「やせの糖尿病」が増える原因になる。

     だが、特定健診では、腹囲やBMI(体格指数)が基準以下だと保健指導の対象にならない。指導対象になっても、約半年という短期間で検査値の改善を目指すため、食事制限中心になる可能性が高い。大櫛教授は「米国では、心血管疾患予防のための取り組みが、肥満対策よりも高血糖や喫煙対策に移行しつつある。特定健診でも血糖値をより重視し、社会全体で運動不足を改善する取り組みが必要だ」と指摘している。


    毎日新聞 2008年5月16日 

  • 飲酒過度なら大腸がんリスク

    1日当たりに飲むアルコールの量がビールで大瓶1本以上になると、大腸がんになるリスクが、まったく飲まないグループに比べて男性で1.4倍、女性で1.6倍高くなることが、厚生労働省の研究班の分析でわかりました。

    研究班は、アルコールの量と大腸がんになるリスクについて、昭和63年から平成16年の間に日本人を対象に行われた5つの調査から20万人分のデータを集め、あらためて分析しました。その結果、1日当たりに飲むアルコールの量が、ビールに換算すると大瓶1本、日本酒で1合以上、ワインではグラス2杯のグループは、まったく飲まないグループに比べて、大腸がんになるリスクが、男性で1.4倍、女性で1.6倍高くなることがわかりました。

    ビール大瓶1本以上のグループでは、1日当たりに飲むアルコールの量が缶ビール1本分増えるたびに、大腸がんになるリスクも10%程度高くなったということです。研究班は、大腸がんになった人の4人に1人はアルコールを適度な量に抑えていればがんを予防できた可能性があるとしています。

    分析を担当した国立国際医療センターの溝上哲也部長は「これまでどの程度のアルコールで大腸がんのリスクが高くなるかはっきりしていなかったが、今回の分析で一定の目安がわかったほか、量が増えるとリスクが高まる傾向が明らかになった。適度な飲酒を心がけ、休肝日を設けることが大切だ」と話しています。

    [5月13日 12時35分 NHKニュース]

  • 山形大付属病院:骨に転移したがんの痛み、和らげる新療法 /山形

    ◇放射性物質含む薬投与

    山形大付属病院は、骨に転移したがんの痛みを、副作用のほとんどない放射性物質を含んだ薬で和らげる療法を、5月から始めた。県内では、これまで副作用の強い鎮痛剤による緩和療法しかなく、がん患者団体は「非常に心強い」と歓迎している。東北では、仙台市の仙台厚生病院に続き2院目。【大久保渉】

    薬は2〜3ミリの短い距離しか放射しないストロンチウム89という放射性物質を含んでおり、注射で投与する。がんの転移した骨は健康な骨と違って代謝が異常に高く、ストロンチウムを吸収。骨内から出る弱い放射線が、がん転移部に当たり、痛みを弱める。

    がんが手術で除去できないほど広く全身の骨に転移した場合、激痛を和らげるには、これまでモルヒネなどの鎮痛剤に頼るしかなかった。だが、モルヒネは吐き気や便秘などの副作用が強く、日常生活に影響を及ぼすことも多かった。

    モルヒネが1日で効果が切れるのに対し、新療法は1回の注射で数カ月もつ。治療費は3割負担で1回約15万円かかるが、長期的な負担額はモルヒネ投与とほぼ同じという。07年11月に厚生労働省が許可したが、医師講習や放射線監視システムの設備投資が必要で時間がかかった。全身骨転移は乳がん、前立腺がん、肺がん患者に多く、同院は県内だけで年間数百人の需要があると推計している。

    山大医学部の根本建二教授(放射線腫瘍(しゅよう)学)は「投与しても、健康な時と同じように生活できる」と話している。乳がん患者の全国組織「あけぼの会」山形支部は「患者にとって最大の恐怖は、がんの痛み。近くで新療法が受けられるのは非常に心強い」と話した。
    外来も可能で、治療の可否は専門医が判断する。問い合わせは、同院がん患者相談室(023・628・5159)。

    [毎日新聞 2008年5月10日 地方版]